着いてそうそうモロッコの圧倒的なパワーを受けた我々でしたが、
ホテルで少し休んでいたら、そのパワーが恋しくなってきたので、
街に出ることにしました。
すると、マキくんの様子がおかしい。
あまり見たことのない小難しい顔をしてる。

『どうした?』
『財布。』
『うん、財布がどうした?・・・・え?落とした?』
ない。財布がない。部屋中を探す。でも、ない。まきくん、必死で記憶を辿る。
でも、体調が思わしくなかったんだ。記憶も飛んでいて当然だ。
『あの時だ・・・。』
そう、ぼったくりタクシーから降りる時、何か落とした感覚があったという。
でも、見回しても何もなかったので、パスした。
あの時、体力的にかなりの限界が来ていたにもかかわらず、
メディナのカオスにグダグダなまま入っていかせてしまった。
そう、まさにあの時だ、きっと。ごめん、マキくん・・・。

ホテルの人に事情を話す。
幸い、カツが金はもっているので、当面は平気。
でも、色々な処理をしなければいけない。
モロッコには、電話をかける店、テレブティックがあるということを教えてくれた。
ひとまずそこに行き、あれやこれや、テキパキ冷静に対処。
結果的に言うとなんの被害もなかったから、皆さんご安心を。

まきくんは7月に入ったらすぐにセネガルに出発する。
だから、LYONに帰って色々な手続きをする必要がある。
注射も打たなければならない(苦笑)。
でも、こんな時、我々が考えることはただひとつ。
『まきくん、こういう時はさ、うまいもんでも食べよう!』

今できる限りのことはした。だったら、ひとまず落ち着くことが大切。
ってことで、ホテルの人に『安くてたらふく食べられるレストラン』
を紹介してもらってひとまず、レストランへ。


今となっては事件現場写真となった。
 
モロッコの街中は何故か男の人だらけだ。ここの人口分布どうなってるの?
と思うくらいだ。
それは宗教的・文化的なことからきているわけだけど、
(女の人は必要以上に出歩かない、肌を露出しない、など。)
だからレストランも、モッサモッサした雰囲気がある(苦笑)。
あの中に入るのはかなりの勇気だろう。今度、是非挑戦したい。

で。ひとまず、食べてエナジーがある状態で色々決めようってことで、
モロッコ料理頼みまくる。
モロッコ風サラダにタジン(肉の煮込み料理)に
クスクスにスープにフライドポテトに・・・。
これだけ頼んでも1000円くらい。モロッコ万歳!
ひとまず食べることにする。
こんな時に『ああ、まきくんとの旅相性ぴったりだな。』と思う。
そのままホテルに戻ってションボリ、することもできるけど。
考えることがある時、いい状態で考えた方がいいに決まっている。
まきくんはそれをちゃんと分かっている。

そして食べ終わる頃には二人の中で答えが出ていた模様。
それは『明日、フランスに帰ろ!』だった。
そしてそれから、もうひとつ。
『だったら今から明日までモロッコ感じて感じまくろう!楽しんじゃおう!』
まきくんは優しい子。
だからこそ、まきくんが、今、どんな気持ちでいるかは分かってる。

レストランを出て夜のモロッコを散策。ものすごいカオス。
『焼き鳥食べない?』
『もう今タラフク食べてきたから、また明日ね!』
『じゃあ、他のいいものいらない?』
おじさん、一体何屋さん?(苦笑)。
薬はやりません。
メディナのカオスを暫らく味わってからホテルに戻る。

まきくんは部屋でこんなことを独り言のようにぼそっと言う。
『でも、自分のミスでよかった。
モロッコの人攻めることにならないでよかったあ。』

カツは、そのコトバをこっそり聞いた時に、
ココロから『いい妹もった。』っと思いました。そしてリスペクトしました。

だってね、異国でね、体調悪くてね(本当にグダグダだった。可哀想に。)
おまけに財布落としてね、一文無しになってね、凹むよね。
いや、カツなら凹みます。
もちろん、まきくんも凹んでいたわけだけど、
ふっと出てくるコトバがこれなんだもの、
それがまきくんなんだ。でっかい魂の持ち主です。


メディナの一角。
 
さあ、そしてモロッコ最終日(苦笑)。今日は写真を撮ることにした。
少しだけね。というのも、
厳格なイスラム教徒に無断でカメラを向けることはできない。
なら許可をもらえばいいという話で。
でも、メディナでは少し厳しい。カツの経験値ではまだ無理だ。
ということで、少し離れたところで、地元の人に声をかけて見る。

すると、なんてみんないい人なんだろう!しかもなんていい笑顔するんだろう!
みんななんとも言えない愛らしい笑顔を持っている。
なんかね、目の奥がね、キッラキラしてるんです。
子供たちなんてもう最高。必ず笑ってくれるしね。
笑顔ってやっぱり万国共通。


モロッコ短かったけど、でも、なんというかね。『生きている』だよね。すごく。
もうメディナなんて最高のグチャグチャカオスなんだけど、
でも、こう圧倒的なパワーがあるんだよね。
欲望とか生きている匂いとか。かと思えば、
とびっきりの笑顔とか、人の温かさとか優しさとか。
不思議なところだ、ここ。

で。この街で思ったこと。
『本当の親切』を見分けるのはすごーく難しい。
それって何かね?っていう定義は少し置いておいて。
例えばフランスで。フランスならやっぱり少し余裕があるせいか、
この見分けってそれなりにつくと思うんだけど。
でも、この街、全然分からない。
今までのアンテナじゃ、全然足りない。

もし、本当の親切で話してきてくれた人がいて、
それをカツが何も見ないでただ、『話しかけてきた人と話してはいけません。』
を実行した場合、ひとつのいい出会いが潰れていくわけだし、
お互いなんだか悲しいよね。
だからって、『よし!ひとまず話してみよう!』はもちろんリスキーなわけで。

そう思ったのは港での話。
今一、場所が分からなくて観光客らしき西洋人に声をかけた時のこと。
カツの顔も見ないで手で『あっち行け。』ってやられたんだよね。
その時に思った。『ああ、こういう感じなのか。』って。

だから、やっぱり自分の経験値と五感アンテナ上げていこうと思いました。
そしたら、きっと、何かしてもらう時も何かしてあげたいと思った時も
今よりぐっといい状況になれる気がするからです。
 
つまりは日々成長、ですな。経験値上げたらまたモロッコに来よう。
そういうことなんだと思う。
さあ、帰るぞーマキくん!で、どう帰ろっか?(苦笑)。


男の子、ちょっと照れくさそうだった。
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