翌日、サクラダファミリアを拝みに行く。
『師匠、すごいわ、さすがだわ。』とまきくん。
まきくんが訪れた2年前よりも遥かに工事が進んでいるという。
それでもまだまだ完成には程遠いのだろうことは、カツにでも一応分かる。

本当に何も知らないけど、カツがすごいと思うのは。
こうして100年も前からこの作業が色々な人、
世代を渡って続いているということ。
ガウディ自身も、この作業に携わってきた人、そして今携わっている人たちが
この教会の完成を見ることはない。
それでも、それを作り続けているということ。
たくさんの人の人生の一部がこの教会の中にあるんだと思うとなんだか、
身体の中から震えが起きたのを感じた。
みんな、完成を信じているんだ。

それって本当にすごいことだと思いませんか?
 
矢田邸に戻ると、ピンポーン!とインターホンが鳴る。
矢田さんが忙しそうなので、我々がお出迎え(苦笑)。
マルちゃんとの出会い。
マルちゃんはガウディの作品を見て見て見まくっているのだと言う。
今回の旅もガウディを見るため。
サクラダファミリアに行ったばかりのカツにとってはなんだか、
『繋がっている』感のある出会いであった。
すごいんだ、ガウディへの愛情が。しかもいい人なんだ。


しかし、なんなんだ、この館(苦笑)。おもしろすぎる。
色々な国籍の人がここのテラスで思いのまま過ごしている。
不思議な空間だけど、すごく心地良い空間でもある。
やっぱりバルセロナって不思議な街だ。


こうしてひとつずつ。
 
ここで矢田さんの話をしようと思う。
何故なら、矢田さんとの出会いは
我々にとってなんだかとっても大きいものだったからだ。
矢田さんはバルセロナに住んで10年になるという。

そんな矢田さんに質問をした。
『何故、バルセロナだったんですか?』
『よく聞かれるんだけどね、それ。
その質問に、いくらでも理由は言える。
でも、何故の答えはないんだよね。
何故あなたは犬ですか?と犬に尋ねて、
きっとその犬は『親が犬だったからです。』と答えて、
その親に同じ質問をしたら、同じように答えるでしょ?それと同じだよ。』

確かに。何故、LYONだったのですか?と聞かれると困る。
PARISだって、RENNESだって何処でも良かったんだ。
もっと言ってしまえば、カツの場合、フランスじゃなくったって良かった。
ベルギーでも、カナダでも良かった。
でも、今、カツはここに居る。そこに理由があっても答えはない。確かに。
『あなたは何故、生きているのですか?』
『あなたは何故、この人が好きなんですか?』それときっと同じだ。

それ以降、矢田さんに質問するのをやめた。
きっと、彼の中では同じ答えなのだろうから。必要ない気がしたんだ。

矢田さんにたくさんの話をしてもらった。
それがすごくココロに残って、この旅の間、よくマキくんとその時の話をした。
名づけて『矢田語録』。本当にたくさんのことを教えてもらったな。
出発前、矢田さんが『もう、開けてしまっているけど、これ。』
と渡してくれたワインに、なんだか、すっごい温かい優しさを感じた。

バルセロナ、たった2日間だったけど、
だから、いわゆる観光は全くできなかったけど、
たくさんのことを感じることができた。
ここで出会った皆さん、本当にありがとうございました。


矢田さんがアジを焼いてくれた。
口下手な優しさが染みる味。
ご馳走さまでした。
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